『 ベランダ 』


冷たい孤独に起こされた朝は
捨てられないマグカップで
あの日と同じ コーヒーを飲もう
ベランダから飛び立って
死んでしまいたくなる前に


























『 大きな消しゴム 』


内側から私が
音を立てて壊れてゆく
愛する人たちを泣かせる前に
世界が私を消せばいいのに
大きな消しゴムで
なかったことにすればいいのに



























『 醜いですか 』


逃げ道を欲しがっている
わたしの生き方は
そんなにも醜いですか。
すべてを赦されて
諦めてしまいたいと願う
わたしの生き方は
そんなにも
醜いですか。


























『 ぼやき 』


醜ささえも受け入れて
赦してくれる
大きな腕はないものか
目を閉じて夢見てみても
現実には誰も
抱きしめてはくれない
私が欲しいのは
ただのぬくもり



























『 力をください 』


力をください
戦う力を
負けない力を 歩き出す力を
声をください
まことの声を
消えたくないと 叫べる声を
死にたくないと 歌えるのどを
力をください
戦う力を
まことの嘘を 貫く力を
貫きとして 走る力を



























『 生まれ変わって 』


生まれ変わっても わたしになりたいと
そんなことを言える 強さが欲しい
生まれ変わっても あなたに会いたいと
そんなことを言われる 美しい心が欲しい


























『 征服欲 』


せ かいはアナタを愛するあまり
い しも魂も奪ってしまうのに
ふ たり並んで見た夢よりも
く つうの伴う名声を選ぶのね
よ くぶかい大人へと変わりゆくなら
く ち果てぬ歌だけを残して行くから

(そうして いつか後悔に 泣いて許しを請うがいい)


























『 はつこい 』


セ ピア色のアルバムに
ブ ルースを贈るよ
瑠 璃色の空の日を
捨 てられないままの僕
好 きだったんだ
ね むれない夜もあったよ
い ろあせぬ情熱に
プ ライドもゆらぐほど


























『 紅い百合 』


リ アリズムを忘れた
リ アリストの残骸
意 味もない夢を見て
え がいたのは幸せな昨日
晩 夏の孤独は幾度となく僕を殺し
す くわれないブルースは君へのレクイエム


























『 永遠の片思い 』


笑顔の君は僕の傍らから離れ
いつしかそれは 他人のものに
遠距離にも似た至近距離のおぼろに
のびやかに美しい君を見ていた
軽やかな足取りも 情熱の赤も
楽しげな笑い声も 笑いあう友も
思えばすべてが 僕の持ちえぬもの
もう後戻りもできない泥沼の水底で
いつまでも きっと 君を想うよ