『世界平和』 世界中のひとが 同時に笑っても きっと世界は 平和にはならない それならばきっと すべての人が 誰かのために泣けばいいのだ 『この胸はいつまでも空虚』 拍手が聞こえる 胸には響かない ただ 涙が出た 嗚呼 大きな拍手だ 『うまくいかない日もあるらしい』 薄汚れた 誇りを抱いて わたしたちはみな 空を見上げている あいにく今日は 曇り空 『ほもさぴえんす』 我々は 人々のために涙できるほど 高潔ではなく ひとときの感情に流されるほど 高貴ではない 己のことで精一杯の 薄汚い種族です 『真に意味を知っているか』 施しの行為は 自然の理に反し 同情という言葉は 偽善でオブラァトにくるまれた 自己満足でしかないというのに 人々は穏やかな笑みを浮かべて 世界平和の戯言を語る 『社会と呼ばれてるモノ』 善悪はいついかなる時も その場の多数決で決まり 正誤の境は 善人の偏見が支配する 『歓喜の歌』 唇から発された悲鳴は 穏やかにゆるやかに 虚ろな空気を震わせて くるくると回り続けるレコードが 私の終焉を祝う 『殺人鬼の安らかな夜』 一太刀振り下ろすとき 私は貴方の瞳を見ている 一太刀振り下ろすとき 私は貴方の絶望と恐怖を見ている それはいつしか 亡霊となって 毎夜 私を じっと見ている 『灯りをください』 光の射さない 棺桶の中では 棺桶の蓋の裏側の 板の木目も見えやせず そこにあるのが 天国なのか 地獄なのかも 私に知るすべはなかった どうして誰も ランプを入れてくれなかったのだろう 『未来の殺人鬼』 あなたはまた 暗い思いを呑みこんで笑った あなたはいつか 呑みこんできたその思いたちに 全身を支配されて 凶行に走るだろう |