『そう思うのになぜか悲しい』 あのひとは恐らくもう帰っては来ないだろう それで良かったのだ もうあんな色を宿した瞳を見ていたくはなかったから 『もういらないから』 あなたがいないなら世界なんて壊れてもよかったの 『君が私を好きだったから』 たとえ君が君でなくなったとしても 私は私でなければならないと思うのです 『二の足を踏む』 日が沈み 日が昇り また日が沈む営み 繰り返して 少しずつ 進んだり止まったり 眩暈のするような限りはあっても果てはないその中で きのうは 風化して 崩れて いずれはなくなってしまうものだと 僕らはもう ずっと前から知っている だからいつだって 振り返り 振り返り あすへ進むのを躊躇っているんだ 『泣きたいのなら』 泣きたいのなら泣けばいいのさ その程度の悲しみならば 時間が癒してくれるだろう 泣けないのなら笑えばいいのさ 深すぎる悲しみならば 抱えていくほかないだろう 『荒療治』 虚ろな言葉で慰めるくらいなら 思い切りひっぱたいて 目を覚まさせてくれないか 『アバズレ』 楽園みたく幸せな時間のあとで 「夢でした」なんてオチ 残酷すぎるだろ baby Ah おそらの上で あばずれ女神が笑ってる 『早鐘を打つ』 勇気を出して君に貸した あの傘の帰りを 玄関先で待っているの 『迎えに来て』 あれからもう何年も経つのに こんな雨の日に呼びたくなるのは 決まって君の名前 『落し物』 瞳から零れ落ちたそれは 大事なものじゃあないの? もう不要だと言うのなら 僕にも少し分けてくれないか? きれいな色をした水 星にあげたら喜ぶと思うんだ |