『夏の叫び』 蝉が泣いている 彼らは何をあんなに必死に 叫んでいるのだろう 『善いひと』 偽善者がこれほど醜いのだから 善人とはよほど恐ろしいに違いない 『青い紅葉』 燃え上がる前に落ちてしまった 青いもみじ お前はこれからどこにゆくのだろう 『ゆびきり』 守れなかった誓いが小指にまとわりついて いっそ指ごと切り落とそうかと思ったけれど この痛みを消したくないような気もしてやめた 『お前はどこへゆくの』 ほほを伝い 零れ落ちた雫に 行き先を聞いてみたい気がした 『まるくてきれいな』 どうしてとなぜのはざまの泪 ビー玉みたいないろだった だけどとだからのはざまの泪 ビー玉みたいにまるかった 『拭きなさい』 流したなみだの数を教えてくれたら このハンカチを貸してあげよう 『ナミダの代役』 泣けない人間になってしまったけれど 特別惜しいとは思わない 代わりに泣いてくれる人など 星の数ほどいるのだろうから 『どれだけ重ねれば許される』 振り返らなかったことが罪だと言うのなら 前に進まなければならないことが罰なのだろうか それとも それさえも罪? 『Why』 こぼれ落ちるたくさんの“どうして” 答えなどどこにも落ちてはいないのに 顔を上げられないのは どうして? |