『あわれなひと』


哀れだね と笑うキミを
だれよりも 哀れだと思う



























『過去からの逃亡』


痛みを抱えつづけられるほどの強さを
僕は持てなかった
思い出を抱いて生きていけるほどの覚悟を
僕は最後まで持てなかった




























『幸せな日々』


目を開ければ
君が すぐ そこにいて
おはよう と言ってくれた朝を
僕は 日常と 呼んだ



























『叶わぬ』


わたしを哀れむ善人たちを
どうか一掃してくれと
流れる小さな星に願った
祈りなど届いたためしがないのだと
優しい悪人が肩を抱いた
星は雲に隠れて
逃げるように姿を消した




























『お雪』


最後のおままごとももうすぐ終わる
縁側の後姿が切なくて泣いた



























『きれいすぎて』


思い出はいつも
あの夕焼けに彩られてる



























『小さな欠片』


壊れた心の 小さな欠片
拾い集めて 抱きしめて
もう 誰にも 触らせないと
あの日 誓ったはずだったのに
これを裏切りだと 君は罵るかな
でもきっと 君は優しい人だから
笑って許してくれるって
そう信じている僕は 悪い奴だね
壊れた心の小さな欠片
拾い集めて 抱きしめて
薄れない思い出を 思い描こう
目を逸らさずに 見つめてゆこう



























『弱者の腕』


僕らはずっと昔から
抱きしめて離さずにいる
守り方を知っていた
僕らは大人になって
奪われるより先に
奪うという手段を知った
僕らの腕はすべてを守りきれるほど
大きくもなく強くもなかったから
正義の味方は卑怯だと蔑むけど
僕らはそれ以外の方法を持たない



























『犠牲がひとつ』


願いごと ひとつ
叶えた ほしが
お月さまに 別れを告げて
海に流れて 消えました
願いごと ひとつ
流れぼし ひとつ



























『RESET』


いっそすべて終わってしまえば
みんなはじめからやり直せるのかもしれないのに
それでも進んでいこうとするのは
あまりにきれいすぎる思い出を
なかったことにすることが怖いから
愚かな愚かな 愛すべきわたしたちは そうやって